細中便り 2021年5月号より

校長 野邉 盛雅


 先日の全校朝会で,鹿児島県知覧出身のノーベル物理学賞受賞者の赤崎勇さんの話をしました。残念ながら,先月2日にお亡くなりになりましたが,氏の業績は,LED開発になくてはならない大きいものでした。この赤崎さんは,最後の課題となっていた青色発光ダイオードの開発に成功した立役者です。赤色,緑色に続き,どうしても青色が無いと白色や様々な色が生み出すことができません。多くの科学者たちは,諦めて手を引いたのですが,赤崎さんは,研究仲間を激励し,あきらめずに望みを捨てなかったそうです。
 ダイオードの基盤作りは高温で熱する必要があるのですが,そんなある日,たまたま燃焼炉の不具合が発生し,あれほど上手くいかなかった青色発光ダイオードの開発に成功してしまったのです。
 これは,「失敗は成功の母」という美談では無く,途中で諦めていたらこのような失敗に出くわす事も無く,永
久に開発できなかった可能性もあったという話です。諦めずに不断の努力を続けることの大切さとともに,何かに挑戦してやり続けた結果の先には,仮に目的が達成できなかったとしても,何かしらの形となって自らを大きく成長させることができる旨を併せて話したところでした。